リスニングのヒント
- 上の図は大学生の聴き取り率を調べたものです。すべて知っている単語で構成された英文をネイティブが普通に話す速度で話した場合の結果です。聴き取れるのがおおよそ半分というのが平均的な姿です。分かりやすく表現すれば、すでに知っている単語なのに、ネイティブがペラペラ話すと半分ほど聴き取れないということです。語彙が少ないから聴き取れない、知らないイディオムや口語を使っているから聴き取れない、と考えがちですが、新しい単語を覚える前に知っている単語を聴き取れるようになるのが先決だと言えそうです。
- 上の図には推測率も表示されています。すべて聴き取れれば相手が何を言っているのか推測する必要はありませんが、聴き取れない箇所があると相手の言うことを推測することになります。上の図で面白いのは聴き取れるのが50%以下の人の方が50%の人よりも推測している割合が少ないということです。おそらく推測するにもするだけの量の英語が分からないので推測することを諦めるのではないかと「推測」できます。推測率は聴き取れる語数の割合があがると小さくなっていますので、これは経験的にも理解できます。もうひとつ経験から言えるのは相手が何を言っているのか推測するということは、その推測が正しいかどうかが分からないので不安でもあるのです。つまり推測曲線は不安の度合いを表す不安曲線と考えてもいいかもしれません。その見かたが正しいとするならば、もっとも平均的な聴き取り率の人がもっとも不安を感じているということになります。英語を聴き取るときの不安を減らすためにも知っている単語が聴き取れる率をあげた方がよさそうです。
- 図2は、図1の中から50%あたりの平均的な学生の聴き取り内容を示したものです。人称代名詞(Personal Pronoun)が56.4%ですから(I,You,He,She,We,They)などの約40%を聞き落としているという意味になります。これらの語彙が聴き取れないとは考えたこともない人が多いのではないでしょうか。以下同じように一般動詞は54.8%、助動詞は35.3%、接続詞は33.3%、疑問詞は50.0%という具合です。Be動詞に至っては33.3%です。そして全体の語彙の49.1%しか聴き取れないという結果となっています。以上は聴き取れない語彙を文法項目で整理したものですが、聴き取れない原因を音韻の面からもとらえています。弱音(Weak Stress)は20.5%の聴き取り率です。弱音は読んで字のごとく、弱く発音される単語やフレーズのことですが、図2は弱音箇所の79.5%は聴き取れていないことを示しています。Plosiveは破裂音という意味。D/G/K/P/Tなどの破裂音で終わる語彙の58.1%が聴き取れていません。単語と単語がくっついてひとつの単語のように発音されるリエゾン(Linking)箇所はなんと82.6%が聴き取れていません。繰り返しますが、これはすべて知っている単語でできている英語を聴き取った結果です。図2はあるひとりの学生の例で、個々人によって各項目の比率は異なりますが、おおよそみな似たような傾向を示します。いま、これを読んでいるあなたにも当てはまるかもしれませんね。
リスニングのトレーニング
- 弱音の中には発音が非常に弱く本当に発音されているのかどうか分からないようなものもあります。
- 破裂音が含まれる語彙は尻切れトンボのように語尾が切れてしまう場合が多く、知っている単語とはとても思えない発音になることもしばしばでしょう。
- リエゾンは音がくっついて複数の単語がひとつの長い単語のように聞こえてしまうことが多いです。
- という具合に、耳を澄ましても聞こえない現象が多く、リスニングのトレーニングをするには単に聞いているだけでは効果が薄いです。音の変化や消え方を身につけるには、実際に発音を真似てみることがもっとも効果的でしょう。そのような意味で発音練習、音読、リピーティング、シャドーイングなど、お手本を元に自らの口を動かすトレーニングを積極的に取り入れることをお勧めいたします。