リスニングとリーディングの関係


図1:読書速度分布

 上の図は学生の読書速度を計測したものです。多読用の図書を一年ほどかけて読んだときの平均のデータです。単位は一分間に何語読めるかというWords Per Minute(略してWPM)を使っています。10から3,40WPMあたりは読んでいるというより「寝ている」と言った方が正解かもしれません(笑)。ただし50WPMぐらいになるとたくさんいます。遅いですが決して寝ているのではありません。一般的に大学生にとり100WMPがひとつの壁と言われていますが、このグラフもその意見を多少は裏付けているようです。読む速度が140から150WPMぐらいになるとTOEICのリーディングセクションで最後まで問題をこなせるかと思います。
 さて、学生に読む速度が遅いので速く読むようにと言ってもそんなに簡単にできません。速く読もうとすると何が書かれているのか分からなくなるのです。これは読む速度を速くすることにより、脳が単語やセンテンスを処理する速度よりも多くのものが入ってくるからだと考えられます。つまり脳の処理能力を超える情報量が入ってくるのです。多読をする意味は、やさしい英語をたくさん読むことで、こうした脳の処理速度を無理なくあげていくことにもあるでしょう。

図2:読書速度と映画速度との関係

 さて、読書速度はリスニングとどういう関係にあるのでしょうか? 映画との関係で考えてみましょう。映画の会話速度のところで一般のネィテイブが普通に話す速度は180から200WPMあたりであると述べました。ここで問題です。いま、読書速度が100WPMの人に200WMPの映画を見せたとします。さて、理解できるでしょうか? 答えは相当難しいと思います。仮に知らない単語がひとつもないとしても、見る人の脳の処理速度と会話の速度が違いすぎるのです。会話速度をゆっくりにしてもらうか、脳の処理速度を上げなければとてもついていけないでしょう。
 図2は図1の読書速度の分布に映画の会話速度を重ねたものです。棒グラフは図1と同じものです。折れ線グラフは映画の速度を積み上げていったものです。たとえば90WPMでは映画の会話のほんの数%しかカバーしていませんが、120WPMあたりになると映画の約20%の会話をカバーしています。180WPMになると映画の約60%をカバーします。これを逆にいうと180WPMよりも速く話す会話が映画には40%も含まれていることになります。
 仮にいま、読書速度とリスニング速度が等しいとすると180WPMで本が読める人は映画を見ても60%ほど理解できることになります。ようするに読書速度をあげることにより、より速い音にもついていけるようになり、また逆により速い音を聴き取れるようになれば読書速度にもいい影響がでるでしょう。もちろんそこには語彙や文法力、発音などいろいろな問題が横たわっていますが、一方の改善がもう一方の改善につながるのです。
 あなたは映画を字幕なしで見れるようになりたいと思っていますか? では、読書速度もあげるようにしましょう。ふたつは連動しているのですから。